2024年7月にキューバのハバナを訪れた。日本人がキューバに入国するには、Tarjeta Turísticaと呼ばれるツーリストカードを取得する必要がある。カードは通常、日本のキューバ大使館で申請するか、航空会社や専門の業者に頼むことで入手できる。しかし、私は直前までスペインにいた上、使用した航空会社に該当するサービスがなく、郵便を受け取れる長期的な住所もなかったため、マドリードのキューバ大使館に行くことにした。このような状況になる人はレアだとは思うが、なかなか大変だったので詳細を記しておく。
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キューバ大使館 in マドリード
マドリードのキューバ大使館の最寄りは地下鉄のPío XII駅である。それほど遠いわけではないが、旅行者が通常行くエリアからは少し離れている。
受付時間は月曜~木曜の9:00~12:30。金曜は開いていない。
世界共通の役所の特徴と思われるが、基本的に混んでいて時間がかかる。受付開始前に行って並び、後ろの予定には余裕を持たせることをおすすめする。私は当初、移動の合間時間に手続きを済ませようとしたら、全然間に合わず後日再び大使館を訪れるはめになった。
持ち物
必要なもの
- パスポート *
- ビザ申請用の書類 * (その場で貰うことも可能)
- クレジットカード * (VISAのみ、後述)
- 現金22€ * (クレジットカードが使えなかった時用)
- 飲み物
- 上着
用意したが必要なかったもの
- 旅行中の保険の書類
- キューバへの往復フライトの予約書類
- キューバでの滞在施設の予約書類
料金と支払い方法
大使館の外に各種手続きの料金表が貼り出されていた。
2024年6月時点でツーリストカードの値段は22€だった。

写真が見づらいが、一番上の紙に支払いはVISAカードでのみ行える旨が記してある。現金払いやMastercardは不可。Sabadell銀行への振込もできるようだが、ほとんどの日本人は口座を持っていないと思うのでここでは割愛する。
クレジットカードについて
ここで、果たして日本のクレジットカードは使えるのかという問題がある。
結論から言うと、私のカードは支払い時に機械に拒否されて使用することができなかった。そういうことは日本人に限らずたまにあるらしく、職員が待合室にいた人たちに事情を話して協力者を探してくれた。ありがたいことに1人の男性が名乗りを上げてくれたので、支払いは彼のカードで行い、私は彼に現金で22€を渡すことで事なきを得た。
カードが弾かれた理由は分からない。日本のカードしかないことを受付で伝えた際には大丈夫だと言われ通してもらえたため、一律に禁じられているわけではないと思う。
(まあ日本人なんて滅多に来ないだろうし職員が把握してなかった可能性もあるが)
可能性としては、キューバでは決済銀行が米国系のカードは使用できないので、それが原因だったのかもしれないと思っている。ちなみに使えなかったカードはソニー銀行のSony Bank Walletである。
ひとまず言えることは、もしキューバ大使館で支払いが必要な場合、
(もしあれば)スペイン発行のVISAカードを使う → 日本のVISAカードを複数持っていく → 念のため現金もお釣りが出ないように用意する
のが良いと思う。
現地での流れ
大使館は下図のようなレイアウトだった。1F, 2Fは日本基準である。(1Fがground floor)

1. 入口
到着したら入口に並んで待つ。入口はオートロックの住宅のような感じで、インターホンがありロックがかかっている。分かりやすく列がつくられているとは限らないので、周りの人に聞くか雰囲気で察する。
朝早く行った際は、9:00が近づくと大使館の人からどのように並ぶか指示があった。
屋外なので水分を持参した方が良い。遅めに到着したときはここで1時間以上待った。
2. 受付
受付は1人(1組)ずつ行われる。
順番が来たら門のロックが解除されるので入口を入り、受付で要件を言う。
ここでパスポートを見せる必要がある。手続きが終わると番号札を渡される。
3. 待合 (1F)
先に進むよう指示されるまで座って待つ。
朝早く行った際には最初から2Fに進み、ここで待つ時間はなかった。
4. 待合 (2F)
階段を上がった先の部屋で自分の番号が呼ばれるのを待つ。
申請書類を持っていない場合は先にカウンターでもらい、待ち時間に記入すると良い。書類はA4サイズ1枚で、名前・パスポート番号・誕生日・住所などの基本的な項目と、キューバの入国予定日、署名などの欄があった。複雑な内容はなかったと思うが、スペイン語に慣れていないと時間がかかるかもしれない。
自分の番号が呼ばれたらカウンターで書類を提出する。もし不備があればここで指摘されるはずである。私は特に問題なく受理され、奥の窓口に呼ばれるまで再びイスに座って待った。
この部屋は空調が効いていて少し寒かった。
5. 窓口
カウンターの奥に銀行の窓口のようなブースが4つくらいある。しばらくしてそこに呼ばれると、名前・誕生日などを確認された後支払いを行う。私は前述の通りクレジットカードが拒否されたので、カウンターのところに戻り、職員の人が探してくれた協力者とやり取りして無事支払いを終えた。
6. カードの受け取り
受け取りの際には名前と、マドリードからのフライトで行くのかどうかを確認された。一応用意していたフライトの予約書類を見せた。その後有効な滞在日数などの説明があり、無事カードを受け取った。
7. 退出
手続きが終わったら再び1Fに戻り、入ったのと同じ場所から退出する。出るときにも職員の人に門のロックを解除してもらう必要がある。
2度目に行ったときは8:40頃に到着し、終わったのが11時過ぎだった。
キューバ入国
そんなこんなでようやくツーリストカードを手に入れたのに、移動の際にも一悶着あった。
マドリード空港にて
私はイベリア航空のマドリード → ハバナ便を利用した。
イベリア航空のカウンターでチェックインする際、ビザ(ツーリストカード)を求められ提示した。
するとなんと、発行した業者のスタンプがないのでこのツーリストカードは無効だと言われた。青天の霹靂である。大使館で入手した場合は大使館のスタンプが必要らしい。
そんなこと言われても今更どうしようもないので困っていると、カウンターのスタッフがあちこちに電話をかけ始め、その様子を眺めながらしばらく待った結果、やはりスタンプが必須だとのこと。航空会社としては一応航空券を発行するが、ハバナで入国が認められるか分からないと言われた。もし無効とみなされたらどうなるのか聞いてみると、さぁ?🤷とのこと。
まじかよと思いつつ、ハバナに行くのにそこまで強い目的がなかったこともあり、不安半分、もし入国できなかったらウケるなという気持ち半分で出国することとなった。


↑ 実際のツーリストカード。裏面は印刷された注意書きだけだが、本来ここにスタンプが要るらしい。
ハバナ空港にて
約9時間のフライトを経てハバナに到着し、入国審査の際にツーリストカードを提示した。先ほどまでの不安はなんとやら、スタンプがないことは全く気にもされず入国することができた。ここではカードは回収されずそのまま返された。
ちなみに、その他の書類(海外旅行保険、帰りのフライトの予約など)を要求されることもなかった。
キューバ出国時
出国審査の際にツーリストカードを再び提示し、そのまま回収された。
ここでもスタンプの有無は全く問題にならなかった。一体あれは何だったのだろうか?
まとめ
このように、私は無事大使館でツーリストカードを入手しキューバに入国することができたが、正直割に合わないと思う。面倒くさすぎる。なるべくツーリストカードを手配してくれる航空会社でチケットを取るのがおすすめである。最近はLCCでもそういうオプションがあるところもあるらしい。
ただ、やたらと時間はかかったが、私の片言のスペイン語でも職員の人はみんな親切だったし、他の利用者同士もお互いに協力し合うような場面がしばしば見られ、そういうところはキューバ(とスペイン)の良いところだなと思った。もし今後行く人がいるとしたら、分からないことがあればとりあえず誰かに聞くことである。日本と比べればマニュアルよりもその場のコミュニケーションが重視されるし、主張すれば大抵ちゃんと聞いてもらえるので。